ヤブツバキ（藪椿）

高木／常緑

高さ：5〜15m／葉身長：5～9cm／葉柄長：7～12mm／花径：50～70mm／果径：3～4cm／種子長：1.5〜2.5cm

低い位置からよく分枝する。樹皮はなめらかで灰褐色。葉は先が尖った楕円形で、厚手で表面に光沢がある革質で、濃緑色で、裏面に向けてやや反る場合が多い。両面とも無毛で、縁には細鋸歯があり、互生する。12月～翌4月頃、枝先の葉腋に桃紅色の花を咲かせる。花弁は5個で、平開しない。雄しべの花糸は白く、下半分ほどが合着して筒状になり、基部では花弁とも合着するため、花が散る時は、花首からまとまって落ちる。葯は黄色。果実はほぼ球形の蒴果で、表面は光沢がある赤褐色で、熟すと木質の果皮が3裂して、3～6個の種子を出す。

「ヤブツバキ」は、幹が上に伸びる。葉の表裏は無毛。花は平開しない。雄しべの花糸は白く、下半分ほどが合着して筒状になり、基部では花弁とも合着するため、花が散る時は、花首からまとまって落ちる。果皮は滑らか。
「ユキツバキ」は、這うように横に広がる。葉柄に毛が生え、葉縁の鋸歯が鋭い。花は平開する。雄しべの花糸は黄橙色で、合着せず放射状に開く。果実ができにくい。
「サザンカ」は、葉が小さい。葉の表裏の主脈上に毛が生える。花は平開する。花弁が一枚ずつ散る。雄しべの花糸は黄色く、合着せず放射状に開く。果皮に毛がある。

純白から深紅までさまざまな色合いの花色があり、八重咲き、半八重咲き、絞り咲き、斑入り葉種など、多数の品種がある。「サザンカ」との種間交雑品種もあり、見分けは困難。

日本（本州の太平洋側、四国、九州、沖縄）、朝鮮南部、台湾

沿岸地～山地に自生する。半日陰を好む。乾燥した寒風に弱い。剪定は花後に。

庭木、庭園樹、玉造り、生垣、公園樹、鉢植え、盆栽、切り花。材は工芸品や細工ものに加工される。実から絞った油は、高級食用油、また整髪料として利用される。